作業療法学科のお知らせ

作業療法士の支援方法の紹介 闘牛編

2025-02-20

 

 作業療法士は、対象となる方の心身機能生活環境、そして何より「生きがい」に焦点を当て、その人らしい生活を送れるよう支援する専門家です。

 今回は、出前授業でお伺いした徳之島の闘牛に着目して、作業療法士がどのような視点で支援していくのかを簡単にご紹介したいと思います。

 まずは、徳之島について簡単にご紹介します。鹿児島県奄美群島の島の一つで、豊かな自然と独自の文化が息づく島です。その文化の中でも特に有名なのが、「闘牛」です。

徳之島の闘牛は、歴史があり、島民の生活に深く根付いています。闘牛大会は、島内各地で年間を通して開催され、多くの観客が熱狂的な声援を送ります。

闘牛は、牛同士が互いの力をぶつけ合う勇壮な姿が見どころです。

島民にとっても多くの方が生きがいとしている「闘牛」が身体の麻痺や精神の障害により、観戦できなくなったら生きがいを失うことにも繋がります。

そこで作業療法士は、闘牛観戦が麻痺によりできなくなった方が、再び観戦できるようになるために、段階的なアプローチを行って行きます。

1. 状態の把握と評価

  • 麻痺の状態、程度、発症時期、合併症の有無などを把握します。
  • 闘牛観戦に対する思いや、生活上の困難、希望などを丁寧に聞き取ります。
  • 身体機能(運動機能、感覚機能、高次脳機能など)や日常生活動作能力を評価します。
  • 精神状態(意欲、不安、抑うつなど)や認知機能(注意、記憶、理解など)を評価します。
  • 観戦環境(会場のバリアフリー状況、移動手段、介助者の有無など)を確認します。

2.. 介入の実施

身体機能の改善

  • 麻痺の状態に合わせて、筋力トレーニング、関節可動域訓練、バランス訓練などを行います。
  • 姿勢保持や移動動作の練習を行い、観戦に必要な体力を養います。
  • 呼吸訓練や発声練習を行い、応援や声援ができるようにします。

日常生活動作能力の向上

  • 観戦に必要な動作(移動、着脱、飲食など)の練習を行います。
  • 福祉用具(車椅子、杖など)の利用を検討し、適切なものを選択・調整します。
  • 介助者の協力を得ながら、観戦に必要な動作を練習します。

精神的なサポート

  • 闘牛観戦への意欲を高め、楽しみや喜びを感じられるように、支援を行います。
  • 闘牛に関する情報提供や、他の観戦者との交流機会を設けることで、社会参加を促進します。

環境調整

  • 観戦会場のバリアフリー情報を収集し、利用しやすい座席や移動経路を確保します。
  • 介助者の手配や、移動手段の確保など、観戦に必要な準備を支援します。
  • 家族や友人との連携を深め、観戦への協力を得られるようにします。

3. 評価と見直し

  • 定期的に介入の効果を評価し、必要に応じて計画を見直します。
  • 目標達成状況や、観戦時の満足度などを確認し、今後の支援に役立てます。
  • 観戦後の感想や意見を聴き取り、改善点があれば検討します。

4. 観戦に向けた準備

  • 観戦当日の体調管理や服装、持ち物などを確認します。
  • 観戦時の注意点や、緊急時の対応などを説明します。
  • 介助者との連携や、移動手段の最終確認を行います。

5. 観戦後のフォロー

  • 観戦後の感想や体調などを確認し、問題点があれば対応します。
  • 次回の観戦に向けて、改善点や課題などを検討します。
  • 闘牛観戦が継続できるよう、長期的な支援計画を立てます。

 作業療法士は、上記のような段階的な介入を通して、闘牛観戦が麻痺によりできなくなった方が、再び観戦できる喜びを味わえるよう、全力でサポートします。

地域包括ケアシステムで地域に貢献できる職種として、作業療法士はまだまだ足りていないと肌で感じてきました。

すこしでも住んでる地域の方々へ支援ができるように一人でも多くの作業療法士を志す仲間が増えていけば幸いです‼

 

 

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